「マイナンバーは正直者 カードは一枚、欲は百枚」#落語 #ポケモンカード#マイナンバーカード#マイナンバーカード
「えー、世の中というものは便利になったと言いますがねぇ……便利になればなるるほど、人間は不便になる。
昔は”顔パス”なんて言葉がありましてね。
『あ、この人なら大丈夫。』
顔を見れば信用された。
ところが今は違います。
顔じゃない。
カードです。
カードを見せてください。
免許証ですか?
違います。
保険証ですか?
終わりました。
社員証?
それじゃコンビニしか入れません。
マイナンバーカードをお願いします。
……人間よりカードの方が信用される時代ですよ。
そのうち夫婦喧嘩でも、
『あなた、本当に主人ですか?』
『はい。』
『本人認証してください。』
『暗証番号を三回間違えました。』
『ロックが掛かりましたので、今日は離婚できません。』
便利ってのは、不便を丁寧に包装したものなんですな。」
—
「さて、そのマイナンバーカード。
とうとうポケモンカードの世界まで乗り込んできた。
これがまた面白い。
カードを買うためにカードが要る。
何の話だかわからない。
昔なら、
『ポケモンカードください。』
『はいどうぞ。』
これで終わった。
今は違う。
まずデジタル庁のアプリ。
それから本人認証。
ポケモンセンターオンライン。
抽選。
優先枠。
本人確認。
もうカードを買う前に、人生ゲームを一周してる。」
—
「理由は簡単。
転売ヤーですよ。
この人たちは働かない。
いや、働いてるんでしょう。
でも人の行列に並ぶ才能だけはオリンピック級なんです。
発売日の朝。
まだ太陽も起きてない。
なのに転売ヤーは起きてる。
ニワトリより早い。
ポケモンより素早さが高い。
『君たち、その情熱を資格試験に向けたら国家資格が三つくらい増えてるぞ。』
と言いたくなる。」
—
「武者良太さんというITジャーナリストも言ってました。
店頭でカードを見せる話じゃない。
事前認証なんだ、と。
これ、大事なんです。
カードを見せびらかす制度じゃない。
本人だけが応募できますよという話。
つまり、
『あなたはあなたですか?』
という確認。
これ、案外難しい。
SNSを見てると、
『俺は本当の俺じゃない。』
って人ばっかりだから。」
—
「犯罪ジャーナリストの多田文明さんも、不正利用や詐欺には注意だと。
その通りですよ。
便利なものには必ず寄ってくる。
蛾が電灯に寄るように。
甘い匂いにアリが集まるように。
人気商品には転売ヤー。
これは自然界の法則みたいになってる。」
—
「ところがですよ。
世間には必ず反対する人がいる。
『個人情報が心配です。』
もちろん心配は大事です。
だけど、その人。
朝起きてスマホを開き、
昼までSNS。
夜は通販。
位置情報オン。
写真は全部クラウド。
健康状態も歩数も睡眠時間も全部アプリ。
それで、
『マイナンバーカードだけは危険です。』
いやいや……
家の玄関を全開にして、
『鍵穴が心配なんです。』
と言ってるようなもんですよ。」
—
「もっとも。
制度というものは万能じゃありません。
転売ヤーも考える。
『じゃあ親戚に頼もう。』
『友達に頼もう。』
『犬にも応募させよう。』
犬はさすがに通らないでしょうが、
欲という生き物は、法律より頭の回転が速い。
だから制度は育てるものなんです。
一回で終わりじゃない。
改善して、穴をふさいで、また改善する。」
—
「私はね、転売そのものより、
“何でも金に換える発想”の方が怖いと思う。
限定品。
整理券。
ライブ。
ゲーム。
米。
お菓子。
今度は空気まで売り出すかもしれない。
『こちら限定空気です。』
『深呼吸一回、一万円。』
『転売価格五万円。』
そのうち、
『酸素あります?』
『抽選です。』
笑えませんよ。」
—
「ポケモンカードというのは、本来は子どもが目を輝かせるためのものです。
ところが大人が目をギラつかせている。
目の種類が違う。
子どもは夢を見る。
大人は利益率を見る。
同じカードでも、見えてるものが全然違う。」
—
「結局ね。
本人認証というのはカードの話じゃない。
人間の話なんです。
カードは一枚しか持てない。
ところが欲は何枚でも持てる。
財布に入りきらない。
心の中に何百枚も入っている。
だから本当に認証しなきゃいけないのは、
マイナンバーカードじゃない。
人間の良心なんですよ。
これだけはデジタル庁でも発行できない。
暗証番号もない。
再発行にも時間がかかる。
だから皆さん、大事にしてください。
カードより先に、人間をなくしちゃいけません。」


コメント