豊洲市場に被災地支援の『夢市楽座』オープン 原発処理水放出3年に…市場・福島県担当者「安全を発信」

原発処理水

東日本大震災の発生から今年で15年となり、福島第1原発の処理水の放出開始からは8月で3年がたちました。福島県では少しずつ海産物の水揚げ量が回復しつつある中、東京・豊洲市場の一角に9月5日、被災地の海産物を扱う復興支援店舗がオープンしました。被災地の復興を支える東京の市場関係者や福島県の漁業の担当者を取材しました。

豊洲市場にオープンした「夢市楽座」は2023年から毎年期間限定で実施されていて、東日本大震災や能登半島地震の復興支援を目的としています。店舗では豊洲市場の仲卸が目利きした東北や石川の海の幸が販売され、今年もオープン初日から多くの人が訪れました。この日は福島県産のヒラメや、宮城県産のメカジキ、カツオなどが並びました。さらに店舗には、東京ではなかなか見ることができないご当地ならではの特産品・イカニンジンなども売られていました。

購入客からは「せっかくイベントでやっているから、何かできることないかなと思って来た。石川県も東北3県も大変ですよね。ぜひ頑張って復活してほしい」「どんどんイベントをやって、知ってもらうのが一番いいのでは。一日も早く、昔のようになったらいいと思う」などといった声も聞かれました。

2011年3月に発生した東日本大震災の福島第1原発事故の影響により、福島県内全域で海産物の漁は自粛となりました。翌2012年、試験操業という形で一部の漁業が再開され、2021年からは本格操業への準備段階に移ったものの、水揚げ量は15年がたった現在も3割弱にとどまっています。

原発処理水の海洋放出は2023年8月に始まりました。かつて水産物の最大の輸出先だった中国は、処理水の放出開始当日に日本の水産物を全面的に輸入停止としました。2025年6月には福島など10都県を除いて解除すると発表したものの、事実上の輸入停止状態が続いています。

8月24日に海洋放出開始から3年がたち、これまで22回の放出で合わせておよそ17万2700トンを排出し、タンクの保管量は7.6%減っておよそ124万3400トンとなりました。廃炉と同じく2051年までの放出完了が目標です。

「夢市楽座」の主催者は福島の魚の安全性を国内外に広めていきたいと話します。東京魚市場卸協同組合の早山豊理事長は「福島周辺の海域の魚に対するしっかりとした検査があるので、一番安全な魚だとアピールしてきた。すごく厳しい海外からの目があって、それも払拭していかなくてはいけない。日本の海を守っていこうという大きなテーマの中で共通認識が持てればいい。それが唯一できるのはこの豊洲市場かなと思っている」と話しています。

福島の海産物や原発の処理水について、店舗を訪れた人からは「気にならない、特に何も思わないですよ。チェックが入っているはずなので、こっちが疑うようなことはないのではないかなと思う」といった声や、アメリカから訪れたという人の中には「私はアメリカの放射線を研究する科学者。ここに来る時(原発処理水について)全く頭に浮かばなかった。なぜなら、水や魚は安全だと科学が証明しているのを知っているから。私は心配していません」と話す人もいました。

福島県産の海産物に対する理解は広がっているものの、「夢市楽座」のオープニングセレモニーに出席した福島県の担当者はいまだ水揚げ量や販売ルートの回復に課題があると認識しています。福島県の担当者は「処理水放出の際は非常に影響が出るのではないかと心配したが、全国的な応援のおかげで産地としては大きな影響がないまま出荷もできた」としつつ「安全性はもちろんのこと、数量・ロットもきちんとそろえて出していかないと。回復していくためには(数量についも)徐々にやっていかないといけない」として、着実に前へ進めていきたいと話しています。

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