消費税のインボイス(適格請求書)制度開始から2年になります。7月の参院選で、消費税減税とインボイス廃止を公約した政党が多数になりました。民意は明らかです。「臨時国会でインボイス廃止の決断を」と求める幅広い共同を草の根から強めていきましょう。
■悪魔の選択を迫る
この2年間、フリーランスや個人事業主、建設現場の一人親方、俳優、アニメーター、漫画家など売り上げ1千万円以下の消費税免税業者は、インボイスに振り回されました。
取引先との関係で、インボイスを発行する課税業者になるか、取引先から仕事を切られる覚悟で免税業者を続けるかの「悪魔の選択」を迫られてきました。
例えば売り上げ300万円のフリーランスがインボイスを発行する課税事業者として税務署に登録すると、ゼロだった消費税を10万円支払うことになります。課税業者にならない場合、取引相手が消費税をかぶるため、契約がこない恐れがあり、実際に廃業した人もいます。
「インボイス制度を考えるフリーランスの会」(STOP!インボイス)が5月末に公表した「1万人の実態調査」によると、インボイス登録事業者の約8割が消費税の負担を価格に転嫁できていません。約4割が消費税の支払いを「所得や貯蓄」から、1割超は「借金」をして捻出しています。
財務省統計では、現在、インボイス登録事業者の約4割、81万事業者が「2割特例」という軽減措置を利用しています。「実態調査」では、負担軽減策がなくなる来年10月以降の見通しについて5割が「不安」と回答しました。
「廃業・転職を視野に入れている」は2割で、運輸・通信業、建築・土木・工業、電気・ガス・熱供給・水道業の各分野に及び、国民生活に直結します。「廃業どころか首つりも考える」といった深刻なコメントが50件以上ありました。
■民意無視の自民党
制度開始後もインボイス反対の強い世論をうけ、埼玉県議会をはじめとする地方議会で、「インボイス廃止」を求める意見書や、請願・陳情採択が相次ぎ、採択数は約400にのぼります。
一方、参院選で示された消費税減税とインボイス廃止の民意を無視し続けるのが自民党です。総裁選でも、インボイスに言及した候補者は一人もいません。物価高騰対策といいながら、実質的な増税であるインボイスを強行し続けています。
人気アニメや漫画などのコンテンツ産業を輸出産業にすると主張する候補がいますが、それを支えるアニメーターらがインボイスで苦しむことには無頓着です。
導入開始から2年となった1日、衆院第2議員会館前で、建設関係、漫画家、音楽家ユニオン、フリーライターや酪農家らが「今こそ廃止の決断を」と切実な声をあげたのは、当然です。「ストップ・インボイスは怨嗟(えんさ)の声です。弱い立場の事業者がインボイスでつぶされていくことを黙って見ていていいのか」と突きつけていきましょう。
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