マンガで学ぶ行政書士試験シリーズ【憲法⑨】

マイナンバー制度

最判令5.3.9
この裁判は、マイナンバー制度によって自分の個人情報が国に集められて、プライバシーが侵害されるのではないかと心配した人たち(上告人ら)が、「マイナンバーの利用をやめてほしい!」と国(被上告人)を訴えた事件です。

★事件のあらすじ
1. 日本では、国民一人ひとりに12桁の番号「マイナンバー」が割り振られ、社会保障、税金、災害対策などの行政手続きで使われています。

2. 訴えた人たちは、「マイナンバーによって、自分の色々な個人情報が国に集められ、管理され、利用されることで、プライバシーが侵害されるのは憲法違反だ!」と主張しました。

3. 彼らは、国に対して、自分のマイナンバーの利用をやめて、保存されているマイナンバーを削除するように求めました。

★最高裁判所の判断
最高裁判所は、訴えた人たちの訴えを退け、マイナンバー制度は憲法に違反しないという判断を下しました。
その理由をわかりやすく説明します。

1. 最高裁判所は、マイナンバー制度は、行政手続きを効率化したり、給付金などをより公平に届けたり、国民の皆さんの手続きを簡単にしたりするために作られたもので、その目的は正当だと認めました。

2. マイナンバーで管理・利用される個人情報は、社会保障、税金、災害対策など、法律や条例で決められた範囲の事務に限られています。
むやみに色々な情報が結び付けられるわけではありません。

3. マイナンバーで得た個人情報を、本来の目的以外で使うことは原則として禁止されています。
例外的に使える場合も、人の命や身体を守る必要があるなど、非常に限られたケースだけです。

4. 行政機関同士が情報をやり取りする際には、「情報提供ネットワークシステム」という特別なシステムが使われています。
このシステムは、インターネットから切り離された専用の回線で、情報も暗号化されてやり取りされるなど、安全対策がしっかりされています。

5. マイナンバー制度でも、皆さんの個人情報が国の一つの大きなデータベースにまとめて管理されるわけではありません。
それぞれの行政機関が、自分の持っている情報を別々に管理しています。

6. マイナンバーの番号自体は、それだけでは意味のない数字の集まりです。
もし番号が漏れても、すぐに皆さんの色々な個人情報が外部に流出する危険性は低いと考えられます。
もし番号が漏れて悪用される心配がある場合は、番号を変えてもらうこともできます。

★おさえるべきポイント
最高裁判所は、憲法13条は、みんなの自由が公権力の行使に対しても保護されるべきであると規定していて、その一つとして、個人情報を第三者に見られない自由を持っていると述べました。
そのうえで、マイナンバー制度は、その目的や仕組み、安全対策などを考慮すると、みんなが個人情報を第三者に見られない権利を違法に侵害するものではない、という判断を示したのです。

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