東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を受けて日本産水産物の輸入を全面停止している中国では、24日の放出1年に合わせたメディア報道は低調だった。1年前は自国の沿岸海域への影響を含め連日報じられたが、関心は低下した。
中国中央テレビは25日、日本国内での処理水放出への抗議の動きを伝えたが、ほかの主要メディアはほとんど報道せず、中国の官製メディア関係者は「明らかに報道しない傾向になっている」との見方を示す。
経済が低迷する中国側には、投資導入に向け、日中関係を安定化させたいとの思惑があり、水面下での政府間協議には応じている。金杉憲治・駐中国大使は今月、山東省青島を視察した際、「中国側もこの問題を早く解決したいという雰囲気は感じる」と述べていた。
昨年は清華大の研究チームが公表した「核汚染水は240日で中国沿岸海域に到達する」との見解が広く報じられたが、その後は触れられなくなった。自国の水産業者への影響を念頭に国内の過剰反応を避けたい政権の意向もある模様だ。
北京の「京深海鮮市場」では23日、山東省などで水揚げされた魚介類の注文をSNSで次々と受け付け、各地へ配送する様子が見られた。市場関係者らは「『汚染』が怖ければ、海鮮なんて誰も買わない」と口をそろえた。
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