ソウル — 岸田文雄首相と中国の李強首相は日曜日にソウルで会談したが、福島第一原子力発電所から放出された処理水など多くの未解決の問題をめぐって両国間の溝は埋まらなかった。
岸田外相と李克強首相は、日中両国の「戦略的互恵関係」を推進していくことなどを確認した。日本政府は今後、第三国での国際会議に合わせて岸田外相と習近平国家主席の首脳会談を実現し、両国間の問題解決の道を探っていく考えだ。
岸田外相は会談で「幅広い観点から、両国政府の取り組みの指針となるよう、さらに意見交換していきたい」と述べた。
李首相は「国際政治や経済情勢に複雑な変化が起きており、中日関係にも影響が出ている。日本と中国が互いに歩み寄り、誤解を適切に処理していくことを期待する」と述べた。
東京電力ホールディングスが運営する原子力発電所の処理水の放出に伴う中国による日本産水産物の輸入禁止は、両国間の最大の懸案だ。日曜の協議では、李克強首相が「汚染された水」と発言したことや、日本側が求めている即時禁止解除の条件で合意に至らなかったことから、合意に至らなかった。
両氏は事務レベル協議を加速することで一致したが、早期解決は困難とみられる。これまで両政府の専門家による2回の協議では、中国側が原発周辺の土壌など査察対象を拡大するよう求めている。
日曜の会談で岸田外相は、沖縄県の尖閣諸島周辺で中国船が度々日本領海に侵入していることに深刻な懸念を表明した。また、中国が日本の排他的経済水域内に許可なく持ち込んだブイの即時撤去を改めて求めた。
岸田外相はさらに、中国当局に拘束されている日本人の即時解放を求めたが、いずれの問題についても明確な進展はなかった。
岸田外相は、台湾周辺での中国の軍事演習についても懸念を表明した。
岸田外相は「最近の軍事情勢を含め、動向を注視している。台湾海峡の平和と安定は国際社会にとって極めて重要だ」と強調した。
中国外務省によると、李克強首相は「これは中国の核心的利益の核心であり、越えてはならない一線だ」と述べ、日台の協力に向けた動きを牽制しようとした。
「主張すべきことを主張すれば、李克強氏を通じて習氏に伝わる。本当の試金石は習氏との会談だ」と日本政府に近い関係者は語った。
岸田氏は日中関係の安定と個別懸案の解決に向け、習主席が出席するとみられる11月のブラジルでの20カ国・地域(G20)首脳会議など適切な機会に習主席と首脳会談を行うことを目指している。
コメント