2月28日、東京電力・福島第一原発では4回目の処理水海洋放出が開始されたが、これまでに損害も発生している。東京電力は、処理水の海洋放出に伴う損害賠償として40件・43億円を支払った。
<要因の一つ 海産物の輸入規制>
中国とロシアは、日本産海産物の輸入を全面的に停止。香港とマカオは、福島県など10都県からの海産物などの輸入を禁止している。
東京電力には、賠償請求の問合せが約2200件寄せられていて、このうち約260件は賠償の請求が出されている。
<輸出が通常の半分に>
海洋放出の影響を受ける事業者の一人が、宮城県石巻市でホヤの生産・流通に携わる遠藤仁志さん。
原発事故の後に主な輸出先だった韓国から取引を停止され、アメリカへの販路を開拓した。しかし、2023年4月には「処理水放出前のホヤが欲しい」と海洋放出の影響を懸念した動きがみられた。結果的に、今シーズンのホヤの輸出は、通常の半分の20トンにとどまった。
遠藤さんは「海外の業者も、処理水放出後の海産物が売れるか売れないか見極めている状況」「価格交渉などをしながら損害を少なくしたい」としている。
国は、処理水放出への対応もあることから、原発事故に伴う賠償費用を1兆9000億円追加することにしたが、影響・損害を拡大させない手立ても求められる。
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