本書は、韓国の研究員であるチェ・ソンウン氏が執筆した「働きたいのに働けない私たち」をレビューした記事です。日韓両国における女性の社会進出の遅れと少子化問題の関連性に焦点を当て、著者の経験や研究成果を交えながら、子育てと仕事の両立の難しさや、国と企業の役割について考察しています。
スウェーデンや米国との比較により、韓国と日本の現状が似通っていることが明らかになります。著者は、経済力や育児休業制度、企業の福利厚生など、様々な要因が複雑に絡み合い、女性が子育てと仕事を両立する上で大きな障壁となっていることを指摘しています。
特に、第3章「母になるのは拒否します」では、著者自身の胸の内が綴られており、働く女性が抱える葛藤や、子育てに対する思いが伝わってきます。また、スウェーデンの事例では、パート労働を好む母親が多いものの、国による福祉政策が暮らしを支えていることが紹介されています。
一方で、韓国や日本では、企業が労働者福祉の役割を担ってきた歴史があり、近年では少子化対策として育児休暇や託児所、出産祝い金などの施策が講じられています。しかし、これらの施策は一部の企業に限られ、過酷な受験競争や就活戦線を勝ち抜かなければならないという現実があります。
著者は、韓国や日本で多くの女性が「子どもが欲しい」と思いながらも諦めている現状に触れ、その理由の一つとして「子どもは母親が育てるべき」という価値観に切り込んでいます。この価値観が、女性が働くことを阻む要因の一つとなっていることを指摘し、社会全体で子育てを支える意識改革の必要性を訴えています。
この記事は、働く女性や子育て世代、少子化問題に関心のある方々にとって、貴重な洞察を提供してくれるでしょう。
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