10月から開始 インボイス制度を考える 「国はずるいですよ」【愛媛】 (23/10/05 19:00)

インボイス制度

インボイス制度が10月からスタートしました。この制度について考えます。インボイスとは消費税の税額が記載されている領収書や請求書のこと。魚や肉といった食料品などに軽減税率が導入されて8%と10%の2つの税率が混在するようになり、消費税を明確にするため導入されました。

買う人にとっては分かりやすい。いや、いいことばかりではないんです。例えば、これまで5000円で購入した材料を使い、店で1万円の商品にして売った場合、私たち消費者は店に消費税1000円、店は卸売業者に500円の消費税を払ったことになります。

これまでの消費税の仕組みでは、店は業者に支払った500円を差し引いた500円だけを納税すればよく、これを「仕入税額控除」といいます。これが10月からは業者がインボイスを発行し国に納税した場合、同じ仕組みで店も「仕入税額控除」が受けられますが、業者がインボイスを発行できない場合、店は業者に消費税500円分を払った上に1000円を納税しないといけなくなるんです。

そうすると、この業者と取引したら経費が余分にかかると思って取り引きを止める動きが出てくるかもしれません。

実は小規模な業者は消費税の納税が免除されます。免税されるのをやめてまでインボイスを発行すべきかどうか。小規模な事業者は今決断を迫られています。

松山市で個人タクシーを営む渡邊博之さんは、この道19年のベテランです。

渡邊博之さん:
「タクシーが全国的にかなり減ってる側面もあって今、結構忙しいことが多い。ビジネスマンの方、私は主に(松山)空港で仕事してますけど、結構来られてる」

新型コロナが5類になり、ようやく観光やビジネスの利用客が戻ってきたと話す一方、悩みの種は10月から始まったインボイス制度と明かしています。

渡邊博之さん:
「運転手仲間の話によると、領収書を発行した時に『ああよかった、インボイス付いてる』って言うお客さんがおられた話も聞きますし、会社の経費で使われる方はインボイス発行事業者であるかどうかはかなり意識すると思う。もし免税事業者だったら、出張に来られたお客様とか敬遠される可能性も多いですし」

出張先などでタクシーに乗る際会社によっては、インボイスが発行できないタクシーの料金は交通費として精算できない可能性もあるため、乗ってくれない恐れがあるんです。頭を悩ませる問題はほかにも…

渡邊博之さん:
「課税事業者になったらなったで税金をこれから払わないといけないですから」

インボイスを発行するには新たに登録が必要で、登録すればもちろん、これまで小規模な事業者として免除されていた消費税を納付しないといけなくなります。

渡邊博之さん:
「正直なところ免税事業者でそのままいきたいところ。やはりサラリーマンを相手にご乗車いただくことが多いので仕方ないかなと」

中予圏域の個人タクシーが加盟する組合も、組合員の苦しい胸のうちを明かします。

愛媛県個人タクシー連合会・高橋弘次会長:
「参加していないと乗っていただけなくなるのをやはりみんな心配してて、喜んで参加してる人は一人もいない。今200人弱の組合員がいますけど、こちらが参加してない屋上灯。(インボイス未対応は)約4割前後いる。(インボイス登録事業者は)6割。特に多いのが空港(待機のタクシー)。空港はやはりビジネスマン多いので、9割9分は参加している」

利用客が一目でわかるように、インボイスに対応する車はタクシーの屋上灯が黄色だったり黄色いステッカーが貼られていたりします。しかし未対応の車は白に色分けされています。

高橋弘次会長:
「僕が一番思うのは、個人事業主はすべて何%でもいいから(消費税を)払ってくださいとしてくれたら、僕たちはこんなことしなくて済むし、こういうものをつくらなくていいステッカーなんかを。ずるいですよね。どっちかにしてくれればやりやすいし、こんな問題も起こらないし」

国は今回、免税業者から新たにインボイスが発行できる課税業者になった事業者に対し、消費税の納税額を一定期間2割にするなど特例措置を講じています。今後もインボイスに対応しなくても事業を続けていけるのか、先行きは不透明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました