「最大限の緊張感をもって」2回目の海洋放出はじまる《福島第一原発・処理水》二日でタンク1つ分を放出 (23/10/05 18:45)

原発処理水

2023年10月5日、福島第一原発では2度目となる海洋放出が開始された。燃料デブリの取り出しなど、廃炉作業を進めるためには福島第一原発内にスペースを確保する必要があることから欠かせない作業だ。ただ、復興のブレーキとならないよう、安全を確保しながら実施して風評も防ぐ必要がある。

<10月5日 午前10時18分放出開始>
東京電力は午前10時18分に海水を汲み上げるポンプを起動し、2回目となる処理水の海洋放出を開始した。そして10分後、海水で薄められた処理水が海底トンネルへと流れ出ていった。東京電力の担当者は「初回の放出と同じ。計画通り放出が完了できるように、最大限の緊張感をもって取り組んでまいりたい」と話した。

<2回目も約7800トンを放出予定>
東京電力は2024年3月末までに、4回に分けて3万1200トンの処理水の放出を計画。
1回目では17日間で7788トンの処理水を薄めて放出していて、2回目も約7800トンの処理水を放出する。

<政府の姿勢を改めて示す>
復興のブレーキとならないよう、そして風評被害がおきないよう、計画通りに安全を確保しながらの実施が求められる処理水の海洋放出。松野官房長官は、5日の会見で政府の姿勢を改めて示した。
「モニタリングの結果など、透明性を高く国内外に情報発信を行っていきます。地元にも寄り添って、密に意思疎通を計りながら、安全性の確保や風評対策、なりわい継続支援に取り組んでまいりたいと考えております」
松野官房長官は、中国への対応について「日本産食品の輸入規制の撤廃を含め科学的な根拠に基く対応を求めていきたい」としている。

<東京電力による安全性の確認>
この後、約30年続く海洋放出は計画に沿って進めることが重要。東京電力は、処理水が計画通り薄められているか確認するため、前回と同じく原発から3キロ以内の10カ所の海水について毎日トリチウム濃度を分析する。
1回目の放出期間中には、沖合1キロに設けた放出口近くの海水から1リットルあたり10ベクレルのトリチウムが検出されたが、放出停止を判断する基準の700ベクレルは大きく下回った。

<二日でタンク1つ分を放出>
2回目の放出でも、前回と同じく約17日間で7800トンの処理水を薄めて海に流す計画。タンク1つの容量は約1000トン、一日に460トンの処理水が放出されるので、二日でタンク1つ分。

<一日に90トンの処理水が新たに発生>
放出する一方で、新たに発生する処理水もある。その量は、2022年度だと一日に90トンあって、単純に「放出した分が減少する」わけではない。
東京電力は、2024年3月末までに4回に分けて3万1200トンの放出を計画しているが、日々の発生量を差し引くと、この期間に減少する処理水全体の量は約1万トンに留まる。

点検などで放出を止めている期間が長引いたり、大雨で「汚染水」の発生量が増えたりすると、処理水全体の減少ペースは落ちることになる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました